連載知っておきたいマンション防災の基礎知識

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被災したとき「何をすれば?」が分かる工夫を

どんな災害にも言えることですが、被災したときには〝初動〟が大切です。何を確認するか、誰に連絡するか、避難するとなったら何を持ち出すか・・・。合理的に考えて動ければいいのですが、たいていの場合は冷静さを失って混乱するものです。ましてや誰かがケガをしたとか、家族と連絡がとれないなどの事態になれば、どんな人でもパニックになっても不思議ではありません。

災害に備えるときには、そんな心理状態も想定しておく必要があります。

そこでオススメしたいのが、仮にそうなっても的確な行動をとれるように、被災したら「まず何をすべきか」をあらかじめ紙に書いておくことです。どこで被災しても、その指示どおりにすれば大丈夫という〝手順書〟です。動揺していると頭がうまく働かないものですが、何も考えなくても、ただ手順書どおりにやれば適切な行動をとることができます。

わが家にも「防災マニュアル」があります(「国崎家の防災マニュアル」は危機管理教育研究所のHPからフォーマットがご覧いただけます)。家族同士の連絡方法(第一手段から第四手段まで)、待ち合わせ場所と、そこまでの避難方法(複数)、家を離れるときの手順や貴重品の取り扱いなどを紙1枚に簡潔にまとめています。リビングに貼っているだけでなく、家族全員がいつも持ち歩いています。

ちなみに、マンション全体としての初動が円滑になる工夫として「ファースト・ミッション・ボックス」があります。これは、一つのマンションに一つ用意する箱(BOX)で、被災時にやるべき任務(MISSION)を記載した指示書と、最低限必要となる事務用品が入っています。私と長野県飯田市とで考案したのをきっかけに、全国に広まりつつあるものです。
「何をするか」が書いてあるのは家庭の防災マニュアルと同じですが、最初にボックスの所にかけつけた人が箱を開けて周囲の人に指示を出し、それがすべて「誰にでもできる」ことがポイントです。

日頃の備えが必要なのは、家庭でもマンション全体でも同じです。皆さんもぜひ、どこで被災しても「この指示どおりにすれば大丈夫」という手順書を作って、ご家族で共有してはいかがでしょうか。いざというとき、適切に行動する助けになってくれます。

国崎 信江さん

危機管理教育研究所代表

国崎 信江さん

文部科学省の防災科学技術委員会など、
国や自治体の防災関連の委員を務める防災のプロフェッショナル。