マンション居住者の「高齢化」

日本の65歳以上の人口が全国民の20%を超えた現在、高齢者の数は今後さらに増加傾向にあります。そんななか、マンションというコミュニティーは「居住者」と「建物」という2つの高齢化に直面しています。今回はそのなかでも居住者の高齢化について取り上げます。
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マンションに押し寄せる高齢化の波

マンションの特性が高齢化問題に拍車をかける。

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マンション居住者の高齢化が進んでいます。世帯主の年齢比率でみると、60歳以上の世帯主が、平成11年に約26%だったのが、平成20年には約40%にのぼっています。
急激な高齢化は、マンションならではの問題も生み出しました。
マンションの管理組合を支援するNPO日本住宅建設産業協会で本部理事を務める柿沼英雄さんは、次のように指摘します。
「高齢化が進むと、まずマンション内の人材に影響が出てきますね。たとえば、管理組合の役員のなり手がなくなることが想定されます。役員が不足すると、一部の組合員に負担が集中するなど、円滑な合意形成が困難になる危険性をはらんでいるのです」
もともと管理組合は主にハード面での維持管理を目的に生まれた組織です。さらに近年は、コミュニティー形成を目的としたソフト面の業務もこなしているのが実情です。役員の不足は、管理に関わる一連の業務が滞る可能性があるのです。
そして、以下のような悪循環が想定されます。
  • 管理組合の役員不足
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  • 住人間の合意形成が困難に
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  • 設備の修繕等が滞る>コミュニティーの崩壊
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  • 住環境が悪化し、若年層等の新たな入居者が減少
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  • さらに高齢者比率がアップ
また、バリアフリー化など、ハード面の整備で工事が発生する場合、マンション内で合意に至らないケースもあります。
「もし若い世代がバリアフリーに必要性を感じていないと、なぜ自分たちが支払った積立金が自分たちにそれほど必要でないモノに使われるのか? といった疑問が浮上するでしょう」
同じマンションで暮らす上で、一方が不便を感じているならば、やはり解決に向けて検討すべきではないでしょうか。
また、最近では、「孤立死」も社会的な問題となっています。日本にマンションが普及しはじめたころは、マンションの隔離性の高さを好む傾向がありましたが、その結果、居住者間あるいは地域からも隔離された状態になり、隣人さえも様子をまったく知らないという例も少なくないようです。
マンションへの永住志向の割合が高まりつつあるいま、ますます高齢化への対策が重要となっているのです。
柿沼 英雄氏
NPO日本住宅管理組合協議会 本部理事
柿沼 英雄 氏

"NPO日本住宅管理組合協議会の理事として、マンション管理組合の支援に従事するかたわら、同協議会が発行する集合住宅管理新聞「アメニティ」紙で編集・論説委員を担当。防犯・防災のほかマンションライフに関する記事を執筆。また、自身が住むマンションでは理事長を務めた後、現在、建物・施設委員長として安全性向上に向けて活動中。
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