地震発生直後の行動を考える。

常に地震を想定して暮らすことが、生命を守る知恵や行動につながる。

いつか必ず来る…。頭ではそう分かっていても、いざ大地震に直面した瞬間には、ほとんどの人がただ戸惑ってしまうだけで、適切に行動するのはほぼ不可能だと思っていいでしょう。 では私たちに準備する手はないのでしょうか?いいえ、日頃から常に「今この瞬間に地震が起きたら、どう行動するか?」を想定してさえいれば、いざという時を迎えても、その場に応じた対応は可能なのです。 エレベーターに乗っている時、家事をしている時、入浴している時など、さまざまなシーンの中で地震が起きたら「まず最初にすべきことは?」「万一ここに閉じ込められたら?」「その時、家族は?」などを具体的に想像してみると、自分が取るべき行動、その時のために備えておくべきことなどが、ハッキリ見えてきます。 大切なのは普段の生活の中で、いつも自然にそんなシミュレーションをする習慣をつけること。 「あなたにとって、いつどんな時に地震に遭遇するのがいちばん困るのか?」、まずはそこからシミュレーションを始めてみましょう。

身を守ることを第一に…。もしも余裕があれば数十秒でできることを。

地震そのものの規模や震源からの距離、そして地震のタイプなどによって、緊急地震速報の発令から実際の揺れまでの時間差はさまざまです。 速報が発令されたらまずは何をおいても、「その場で自分の生命を守ること」を最優先に考えてください。 その上で、もしも発令から揺れまでに数十秒の時間があるようなら、より安全を高めるための行動を起こしましょう。 例えばキッチンなら、火を消してガスの元栓を閉めて、すぐにキッチンから離れます。またリビングなら、テレビから離れ、ソファーのクッションなどで頭を守りながらドアを開けて通路を確保するだけでも、ご自身やご家族の安全を守れる可能性が高まります。 もちろんこのワンアクションも、日頃からの行動シミュレーションがあってのこと。 人はイメージしたことのない動きをとっさに取ることはできません。火を消してガスの元栓を閉めるには何秒かかるか?リビングのドアを開けるための動線はスムーズか?などを実際に一度確かめておくことが重要です。 地震発生直後に取るべき行動をしっかりとおさらいしておき、最大の危険を乗り越えましょう。

国崎 信江さん危機管理教育研究所 代表
地震調査研究推進本部政策委員会、防災科学技術委員会などの国や自治体の防災関連の委員を務める。現在は講演活動を中心にテレビや新聞などのメディアに情報提供を行うほか、被災地において状況に合わせた迅速かつきめの細かい支援活動を続けている。主な著書に「決定版 巨大地震から子どもを守る50の方法」「サバイバルブック-大地震発生 その時どうする?」「マンション地震に備えた暮らし方」などがある。

協力:(株)つなぐネットコミュニケーションズ
マンション向けインターネットサービス「e-mansion」を約22万世帯に提供中。「マンション生活をより豊かに」という理念のもと、居住者間交流を促進するイベントの企画実施などコミュニティー形成支援サービスを提供。防災マニュアルの作成や備蓄品の選定、マンション居住者向け防災書籍の発行など、防災支援サービスでも多数の実績がある。

緊急地震速報!~その場で数十秒でできることは?~

リビング
  1. ガラス飛散防止のためカーテンを閉め、テレビや窓辺を離れる。
  2. アイロンなど熱を発する家電の電源を切る。
  3. 室内のドアを開ける。
  4. クッションなどで身を守る。
そのためにも普段から…
・ 高い所に重い物を置かない。
・ 家具やソファを固定する。
・ ガラス類など割れやすいものは極力置かない。

キッチン
  1. ガスの火を消す。できれば元栓を閉める。
  2. 転倒防止のため冷蔵庫の下段を手前に引き出す。
  3. キッチンから離れる。
そのためにも普段から…
・ キッチン台やカウンターには物を置かず、しまう習慣を。
・ トビラや引き出しには飛び出し防止対策を。
・ 冷蔵庫や食器棚をしっかり固定する。

寝室
  1. 懐中電灯を手元に用意。
  2. 室内履きなどを履く。
  3. 閉じ込め防止のため、ドアを開ける。
  4. 布団で身を守る。
そのためにも普段から…
・ 懐中電灯や室内履き(靴)を手近に常備しておく。
・ 家具やベッドなどを固定する。
・ ガラス類など割れやすいものは極力置かない。

お風呂
  1. 浴室・洗面室のドアを開ける。
  2. 素早く体や髪の洗剤を流す。
  3. 浴室を出て服を着る。
そのためにも普段から…
・ ガラス類など割れやすいものは極力置かない。
・ 閉じ込められた時のためにタオルやロングTシャツなどを浴室内に常備する。

玄関
  1. 玄関ドアを開けて、通路を確保する。
  2. 靴を履く。
そのためにも普段から…
・ ゴルフバッグなど地震時に通路をふさぐものを置かない。
・ 日頃から靴を整理しておく。

高層建築のマンションには独特の揺れ方が。

高層建築のマンションの場合、地震の長周期振動の影響で建物が共振し、地表面よりも大きな揺れが長時間続くケースがあります。その揺れ方は建物によってさまざまですが、耐震構造の場合、高層階ほど大きく長時間にわたって揺れ、地表の揺れが収まってもマンションはまだ揺れ続けているというケースも少なくありません。
特に高層階にお住まいの方は、住まい空間を日頃からできるだけ整理整頓しておくこと、ガラスや陶器など割れた際に危険な物はなるべく避けること、さらに家具などをしっかりと固定することなどを確実に実行しましょう。

マンションという住環境の特性をよく知り、地震対策もカスタマイズ。

多くの方々が住むマンションには、戸建てにはないさまざまな特性があります。 頑丈な構造と高い防音性、玄関とバルコニーのみの限られた出入口、鉄のドアなど、快適な居住環境を実現しているマンションですが、それ故にマンションならではの特徴に合わせた地震対策を施すことが大切です。 例えば防音性の高さは、万一閉じ込められた時は、外部に救助を求める声を届きにくくしますし、頑丈な鉄扉のドアは救護者が外からこじ開けにくいというリスクにもなり得ます。 地震の際には自分の暮らしにどんなことが起きるのか?現実のリスクをリアルに想定し、「浴室やトイレにホイッスルを常備する」「地震の揺れが収まったら真っ先に玄関ドアを開ける」などのアクションに結びつけましょう。

マンションならではの注意点
●地震後はあらゆる給排水が厳禁!
地震によって建物の給排水管が損傷している可能性があるため、キッチン・浴室・トイレなどの給排水は厳禁です。万一トイレを流したりすると、汚水が階下のお部屋に染み出し甚大な被害をもたらすこともあります。 →ご家族分の飲料水・緊急用トイレなどを常備しましょう。
注)中・高層階の人は浴槽に水を張るのも避けましょう。
 カビや悪臭などが発生した場合大量の水を汲み上げて階下まで運ぶことになります。
●エレベーターでの対処のしかた
エレベーター内で地震に遭った時は、全階のボタンを押し、開いた階で降ります。地震感知装置がついていれば自動的に近くの階でドアが開きます。万一閉じ込められても窒息の心配はありません。落ち着いて救助を待ちましょう。
→エレベーターに地震感知装置がついているか、事前に調べておきましょう。
●バルコニーは全館の避難路です
バルコニーは、緊急時にはマンション全体の避難路となります。通路や避難はしごをふさがないよう日頃から心がけましょう。
→植木鉢やテーブル・イスなどをバルコニーに置くのは避けましょう。

防災備品の準備以外にも、家族との連絡方法や、財産リストの準備も。

暮らしを支えるライフラインがストップすることを想定して、備品のストックや非常持ち出し袋を準備しているご家庭も多いと思いますが、それ以外にも備えておきたいことがあります。 それは家族との確実な連絡方法の取り決め。 遠方の親戚などを中継点として連絡を取る「三角連絡法」や、各種の伝言ダイヤルなどを検討し、ご家族の状況やご都合に合う方法を「わが家の連絡法」として家族全員で確認しておきます。 また、財産や貴重品の証書類などを 一覧にした、「貴重品リスト」を作成しておくと、被災時に書類を紛失した際などにも役に立ちます。 この「貴重品リスト」は、災害時だけでなく、空巣の被害に遭った際などにも役立ちますが、家族の財産 一 覧であり、個人情報そのものでもありますから、普段の取り扱いには充分な注意が必要です。 お財布に入れっぱなしにすることなどは、くれぐれも避けてください。

見落としがちな子どもの「対災力」養成。

小さなお子さまがいるご家庭の場合は、大人が万全の対策を講じることが大切です。幼児の頃から少しずつ自分で身を守る方法をしっかりと教えてあげましょう。特に子ども部屋に 一 人でいる時の対策が重要です。 まずは普段から、子ども部屋の安全確保をし、不要な物は極力置かず、家具や荷物はできる限り固定しましょう。 また子どもの目線で部屋を見てみることも大切。大人には低い小ダンスが、もし倒れるとお子さまの頭を直撃するという可能性も…。こうした危険性を排除した上で、万一の時の行動を日頃から指導しておきましょう。 また家族と離れている時に被災した場合でもすぐに家族と連絡が取れるよう、連絡先や連絡方法、待ち合わせ場所などを書き込んだ「緊急連絡カード」を、いつも携帯させておくと安心です。 ある程度自立した年齢のお子さまには、自分で身を守る方法をしっかりと教えてあげましょう。

子ども部屋内の安全(危険)な場所と、身を守る方法
  1. 揺れを感じたらすぐに机の下に全身を隠し、倒れてくるタンス、棚からの落下物などから身を守る。
  2. ベッドの近くにいる場合は布団に潜り込み、頭と全身をしっかりとくるんで防御する。
  3. ガラスが割れて飛び散る危険のある窓辺には近づかない。
  4. タンスや棚など、高いものからは身を離す。
  5. 照明(ペンダント)などが落下した場合、頭部などを直撃する危険も。

家族で話し合い、「わが家の防災マニュアル」を作りましょう。

ここまで地震発生直後のさまざまな対策についてご紹介してきましたが、皆さんがお住まいのマンションの場所や立地環境、ご家族構成、お子さまの人数・年齢、学校との距離、ご主人や奥さまの仕事の状況などによって、最適な対策や手段もさまざまです。 そこで大切なのが、ご家族間のコミュニケーション。「わが家」にとっていちばん良い方法を、ご家族が集まって 一 度しっかりと話し合ってみましょう。 その内容をぜひ「わが家の防災マニュアル」や「防災グッズリスト」にまとめてみてください。 また、このマニュアル類を、ことあるごとにご家族の話題とすることで、ご家族全員が日常的に「危機」をイメージすることができますし、また防災グッズをつねに見直すアクションにもつながります。 今、この瞬間に訪れるかもしれない地震から、ご家族全員が身を守り、また少しでもスムーズな日常生活が送れるようお役立ていただければと思います。

本文にてご紹介した各種マニュアルを、下記よりダウンロードいただけます。
皆さまのご家族の防災対策に、ぜひお役立てください。

わが家の防災マニュアル

家族と離れているときに災害があった場合に備えて、連絡方法を決めておきましょう。
連絡のとり方や待ち合わせ場所を家族で話し合いながら、空欄を埋めていきます。
書き終わったら、玄関の扉内側や冷蔵庫、トイレのドアなど、
家族みんながよく見る場所に貼りましょう。

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わが家の防災グッズチェックリスト

災害時にあると役立つグッズをリストにしてみました。
まずは今現在、ご自宅にはどのくらいの防災グッズがあるかをチェック!
そして、今ないものについては、今後必要かどうかを家族で話し合ってみましょう。

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携帯用緊急連絡カード(クレジットカードサイズ)

わが家の防災マニュアルを常時携帯できるように、
お財布に入るカードサイズにしてご用意しました。
家族で決めた連絡方法や待ち合わせ場所など、いつでも確認することができます。
日中離れ離れになるお子さまには必ず携帯させ、
もしもの時に確実に連絡が取り合えるように、備えておくと安心です。

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